日本の男色考10
さてさて男色考も10回目。
…いいのかしらね。
なんだかんだ言ってこのブログ、男色関連の語句でぐぐって来られた方が一番多いので、まあいいかという気になっておりますが。
しかしこのブログは所詮腐ったオタリーナが書いてるものですから、学術的にどうかというとかなりアレですよ。一応それなりに文献読んで書いてますし、嘘を書いているつもりはありませんが…その辺りご承知おき下さいませ。
前置きが長くなりました。
今日は浮世絵に見る男色です!
まずは浮世絵から。
浮世絵は、=春画ではありません。役者絵とか美人画とか風景画とか、その時代の様々な浮世(この世)の様子を描いた版画絵のことです。
その浮世の様子の中に色事のこともあった訳で、今よりおおらかだったり、色事=子孫繁栄=目出度い!な発想だった当時ですので、春画も現代よりはよほど一般的に出回っていたと。(公には売買禁止ですけれどね)なにせ「笑い絵」っていうぐらいですから。
江戸時代の絵師や作家は殆どが春画本にも携わっているといって過言ではありません。里美八犬伝の滝沢馬琴だってあの日本画の円山応挙だって国学者荻生徂徠だって例外ではないのです。この玉石混交っぷりが江戸の面白さだと思うのです…って何時の間にか江戸語りになってますが。
さて本題。
浮世絵に男色図が出てくるのは、菱川師宣(見返り美人で有名ですね)からとされています。浮世絵の祖と言われてますので、浮世絵の誕生とともに男色図も出現したということになりますね。「和合同塵」や「今様枕屏風」などなど結構沢山男色本の絵を描いていますが、何が凄いって、かなり初期の本「若衆遊伽羅枕」には女性・若衆・念者の三人にもう一人の若衆と念者の女房って図がorz しかも、以降この女性・若衆・念者って3人の組み合わせは割と定番絵になります。なんつーか自由すぎだろう江戸人。
同じ頃、上方で活躍していたのが吉田半兵衛。井原西鶴の日本永代蔵の挿絵を描いた事で有名ですね。彼は春画的な男色図は描いていませんが(見つかってないだけかも)、西鶴の「男色鑑」の挿絵は彼であろうといわれています。この本は男色の「大鏡」(模範)なので、内容はあくまでも男色の「意気地」ですから、絵もそれに合わせた話の説明絵になっています。
宮川派の祖・宮川長春は肉筆画の大家で美人画を得意とする人ですが、やっぱり春画も描いていて、その中に若衆がしばしばでてきます。「欠題春画絵巻」(ストレートなタイトルだなヲイ)は12図からなってますが、その内の3図が男色絵です。wikiの長春の項の絵も男色絵だしね(笑)
奥村政信は浮世絵に遠近法を取り入れた画家として、また多色刷り絵に改良を加えて所謂錦絵の素地を作ったことで有名です。でもって、先に書いた女性・若衆・念者の三人取り組み図がお気に入りだったようで(笑)結構な数を描いています。この時代辺りから、男色絵に庶民が登場し始めます。
鈴木春信は、あの一種独特な雰囲気のある可憐な美人絵で有名ですが(なんか少女趣味っぽく思うのは私だけ?)勿論春画も描いていて、男色画もあります。「艶色真似ゑもん」ってシリーズがあるんですが…仙女から貰った薬で体が豆ほど小さくなった浮世之介という若者(絵を見る限りでは通な遊び人)が、諸国色の修行の旅に出かけるというお話です。これの第5図が陰間茶屋街にやってくる場面なんですね。真似ゑもんの台詞には、春信と同じ町内にいた平賀源内(エレキテルですな)を匂わせる文言もあり、こんなところで男色家っぷりが暴露されていたりなんかして(いえ、別に源内さんは隠してもいないんだけど)
勝川春草は勝川派の祖。門人にかの北斎がいます。比較的男色図を多く描いていたりします。凄いのがですね…女性・陰子・舞台子・念者・最後に犬という、なんかもうここまできたらギャグだろうって絵を描いてます。
そして浮世絵の大家・葛飾北斎。
この頃になると、江戸の男色熱はかなり冷めてきていて(禁止されたとか、倫理的にだめになったということでなく、あくまでも「熱がさめた」だけ)浮世絵の中にも男色図は少なくなってきます。でも北斎も1枚描いてます。なんかほのぼの江戸小噺ですよ。男色だけど(笑)
同じく喜多川歌麿。やっぱり少ないようなのですが、歌舞伎を題材にしたものが数枚あります。お染久松を題材にした絵は、久松と、念者・善六という設定です。他に小紫と権八・長兵衛だったり、お七と吉三郎(八百屋お七ですね)・吉祥寺の和尚だったり。
歌川国貞の絵、美人画なんかも非常に色気があって、こう幕末ならではのリアリズムが感じられるのですが。男色がらみで有名なのは、歌舞伎役者・三代目三津五郎と相方の女形・瀬川菊之丞、そして三津五郎の妻お伝の三角関係を題材にした艶本です。これに小姓の菊弥が絡んできたり、果ては翌年には瀬川菊之丞と七代目市川団十郎の艶本も出版されたりなんかして。まあ、内容的にはある程度事実を踏まえたスキャンダルのゴシップってカンジなんですが。
とりあえず有名どころを挙げてみました。
流石に有名どころだけあって、絵もキレイですヨ。
美人画とか役者絵、風景画など表で売られている浮世絵は価格が決まっていて、どんなに良いものでも今の価値で言うと1000円もしない。けど春画は元々禁止されているもの=裏で売られているもの=どんな価格でもつけ放題(高くても良いものなら売れる)=職人さんの手間賃もこっちの方が高い=物凄い多重刷りとか物凄く細かい彫りとかも可能…ってことで、当時の版画の最高の技術を見たいなら、春画。
とはいえ春画の全部が全部そうじゃないんですけれどもね。
また、上記のような有名絵師のものなら素晴らしいものもありますが、絵的には胸の悪くなるようなものも多いのが事実。ぐぐったりするときには充分お気をつけ下さい。
…男色っつーより春画考になってしまったorz
江戸ヲタの悲しいサガですな
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